自民党は経団連加盟企業らに献金の増額を要請しており、減税前倒しは「同日選の軍資金」づくりに直結する政策といっていい。政治評論家・浅川博忠氏は安倍政権にとって同日選は「一石四鳥」の戦略だとみる。
「まず共産党が提唱している野党の選挙協力は、参院の1人区だけならやりやすい。ですが、ダブル選挙になると、衆院候補陣営と参院候補陣営が、選挙区によっては政党が別々というケースが多々出てくる。そこで野党同士の利害対立によって混乱が起こり、結局選挙協力が行き詰まってしまうのです。
次に自民党内の締め付け、それに公明党へのブラフにもなる。4つ目は親安倍のおおさか維新の国会勢力を増やせる。最大野党の民主党は内ゲバ状態で国民の支持を全然取り戻すことができないでいるから、この状態で安倍首相が同日選を打てばおおさか維新や次世代の党などと合わせて悲願である衆参で3分の2の改憲議席を得るチャンスといっていい。3分の2というゴールが見えるから、解散という決断は十分ありえます」
国民には依然としてタカ派色を隠しながら増税再延期と「経済対策」を看板に同日選を打つ。そして自民党独裁体制を固めたあと、いよいよ憲法改正に踏み込むのが首相のシナリオなのだ。
※週刊ポスト2015年12月18日号