永田町では来年7月の衆参同日選挙への機運が急速に高まっているが、過去2回行なわれた衆参同日選挙は、いずれも与党の自民党が大勝している。
大福戦争と呼ばれた自民党内抗争で内閣不信任案が可決し、「ハプニング解散」といわれた1980年の同日選は、自民党は途中まで主流派と反主流派が分裂状態で選挙戦を進めたが、時の大平正芳・首相が選挙中に急死したことで両派が和解、一致団結して衆参ともに地滑り的勝利(衆院284議席、参院69議席)を収めた。
「死んだふり解散」と呼ばれた中曽根内閣の1986年同日選も衆院300議席、参院72議席という両院で過去最高議席を得た。政治評論家・有馬晴海氏がその理由を語る。
「同日選は選挙区毎に組織された衆院候補者の後援会組織と参院に代表を送っている農協、医師会、建設業界といった業界団体という自民党の2つの集票マシンがフル稼動するため、自民党に圧倒的に有利とされている」
安倍晋三・首相が来年7月に同日選挙を打った場合、さらなるアドバンテージがある。衆院では自民党が300小選挙区のほとんどに現職議員がいるのに対し、最大野党の民主党は現時点で137人しか公認候補が決まっていない。半分以上が空白区なのだ。
民主党本部は特命人事部を設置して『逸材公募、大補強2015』と銘打った候補者公募キャンペーンをしているが、党内では前原誠司・元代表や細野豪志・元幹事長が岡田克也・代表に「解党」を申し入れるなどゴタゴタが続いており、ある県の民主党県連幹部は、「知名度のある芸能人やスポーツ選手に声をかけても『党の幹部たちが解党だと騒いでいる民主党から出ても……』と断わられるケースが多い。候補者捜しどころか、松本剛明・元外相の離党や選挙で勝てないと判断した元職の出馬辞退が相次いでいる」と嘆く。
まさに沈む船からネズミが逃げ出す状態。有権者にすれば、たとえ自民党以外の候補者に投票したくても選択肢がないわけで、これでは黙っていても「自民独り勝ち」は見えている。