公称827万世帯を信者に抱える日本最大の宗教団体、創価学会。池田大作名誉会長というカリスマ的存在が高齢化し、表舞台に現われなくなって久しい。その創価学会で最近、宗教団体としての根幹に関わる大々的な発表があった。それは果たして、どんな意味を持つのか。
11月17日、創価学会の機関紙「聖教新聞」の1面トップに、こんな見出しが躍った。「創価学会『勤行要典(ごんぎょうようてん)』を新たに制定 三代会長を永遠の師匠と仰ぐ」
「勤行要典」とは、創価学会の会員が日々の信仰生活のなかで読むお経の内容や、その読み方などについて定めた文書のことで、それをこのほど新しくするという。「三代会長」とは、牧口常三郎・初代会長、戸田城聖・二代会長、そして池田大作・三代会長(現名誉会長)を指す。その三人を創価学会は今後、「永遠の師匠」と位置付け、会員たちにも毎日のお経の際に讃えるように指示したというのだ。
これはいったいどんな意味を持つのか。創価学会に詳しい宗教学者で現在著書『お経のひみつ』が話題の島田裕巳氏はこう解説する。
「創価学会にとって、“永遠”とは特別な意味を持つ言葉です。創価学会はもともと日蓮正宗の信徒組織として発足した教団ですが、日蓮系の宗派が最重要視する『法華経』には、“久遠実成(くおんじつじょう)”という概念がある。
これは釈迦(しゃか)の悟りとは、彼が生きていたとされる二千数百年前のインドで初めて得られたものではなく、それよりはるか昔から存在していたという考え方。つまり法華経は釈迦の悟りを、時間・空間を超越した“永遠”のものと捉えている。
そして創価学会は今回、池田大作氏をはじめとする三代会長が“永遠の師匠”であることを日々確認していきなさいと、会員に対して指示した。つまり池田氏はこれで、いわば釈迦と同じような“崇拝対象”として創価学会の中で位置付けられた。いわゆる『池田教』の色をより一層強めたということです」