往年のレジェンド選手たちが球界の問題をズバリと突く短期連載。今回は日本一に3度輝いた監督でもある広岡達朗氏が、読売巨人軍の監督人事について物申す。
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野球賭博問題でNPBは関与した巨人の3選手を無期失格処分とし、球団に1000万円の制裁金を科す裁定を下しました。変な言い方になるかもしれませんが、私は事件が巨人で起きて良かったと思っています。巨人だからコミッショナー(熊崎勝彦氏)が真剣に調査した。パ・リーグの球団なら、いい加減な調査で終わっていたでしょうね。
しかしコミッショナーは今頃になってようやく仕事をしましたね。本来は不正を未然に防ぐべく、監視役を務めるのがコミッショナーの仕事のはず。幸い今回は二軍の選手なので、八百長という大事には結びつかなかったが、事が起きてから動いているようではいけません。
そもそもコミッショナー本人が自分の存在意義をわかっていないんでしょうね。まァ、無理もない事情はある。米国を真似た形だけの役職だから、何の権限もなく、仕事をしようとすると各オーナーたちから邪魔をされてきたのが日本のコミッショナーです。今こそ球界全体が「コミッショナーの意味」をもう一度考え直すべきです。
さてこの賭博問題からは、今の巨人内部の緩みきった現状も透けて見えてきます。
まずは首脳陣。監督もコーチもベンチにドカッと座って、ただ漠然と試合を見ているだけ。代打を送るだけが仕事だと思っているんでしょう。真剣に野球を見ていれば、指導者がベンチに座っている余裕なんてないはずなんですけどね。
巨人の首脳陣よりも、日本代表の小久保裕紀監督のほうが私にはいい采配に見えました。小久保監督はベンチの最前列に立って真剣にグラウンドに目を向け、コーチも一生懸命やっていた。首脳陣が真剣な姿勢を見せて、エースと中軸を信頼するから、選手もそれに応えて結果が出ていたんです。
バカなマスコミが韓国戦での敗北をあげつらい、継投ミスだと散々叩いていましたけど、信頼した実績ある投手を登板させることの何が継投ミスなのか。ベンチに座っているだけで、気分で4番打者を7、8番に下げるわけのわからない采配をする監督よりは、よっぽどマシです。小久保に巨人の監督になってもらいたかったくらいです。