事件は、8月13日に起きた。元プロボクサーで慶大法科大学院生だった小番一騎被告(25才)が、東京都港区の弁護士事務所を急襲。同事務所で働く妻に肉体関係を強要したとして、上司の国際弁護士(42才)を複数回殴打すると、局部を枝切りばさみで「切断」。その後切り取った局部を共用トイレに流し、傷害と銃刀法違反の罪に問われた。
その後、10月28日の初公判で、弁護側が「妻と被害者男性とのやりとりが詳細すぎて不相当だ」と不服を述べ、検察側の冒頭陳述の読み上げが中止となる異例の事態になるや、「いったいどういうこと?」と世の中の関心をさらに集めていた。
そして11月26日の第2回公判で、こんなスキャンダラスな陳述が並んだのだった。
《被害者は、A(※被告の妻)と共に、港区内の寿司屋で食事を取り、飲酒した後、事務所に戻り、同所内で初めてAと性交した。Aは、嫌がる様子を見せなかった》(《》内冒頭陳述より。以下同)
《1月16日夜、Aと共に品川区内のステーキ店で食事をし、カラオケボックスで、Aが被害者の目前でセーラー服のコスプレ衣装に着替え》、その夜ラブホテルで性交した。
バレンタインには「毎日が楽しいです。先生のお好みの飲食店を、時間かけず見つけられるように…」といった内容の手紙を添えて、菓子をプレゼント。3月11日には、蕎麦店で飲食した後、《被害者はAをホテルに誘ってセックスした。その際、Aは、嫌がる素振りを見せず、被害者の陰茎を口淫した》という。
小番被告の犯行を立証するためとはいえ、検察側が、社会的地位も家庭もある被害者男性の「不適切な交際」をここまで表沙汰にした意図とは何だったのか。
弁護士の山口宏さんは、「検察の狙いは『強姦を否定して被告人に有利な事情を与えない』点にある」と、指摘する。
「弁護側は『強姦されたと思い込み、妻を思うあまりの義憤に駆られた犯行』と情状酌量を求めるでしょうが、初犯であることを差し引いても、局部切断ですから、回復する傷とは違って罪は重い。傷害罪で、懲役15年以下でおそらく実刑になるでしょう」