総合マーケティング支援を行うネオマーケティングが実施した調査結果(12月9日発表)によれば、【実店舗に行く前に商品情報をネットで確認】と答えた人の割合(複数回答)が、家電・AV機器で39.7%、衣類は21.0%、日用品・生活雑貨15.3%と、一定数いることが分かった。【実店舗で購入したい】と答えた人の理由は以下の通りだ。
〈素材や肌触りなど、直接手で確かめられることと、試着ができること〉(衣類/48歳女性)
〈実際に見ないと商品の特性が分からないので〉(衣類/58歳男性)
〈大きさや細部を確かめてから買いたい〉(日用品・生活雑貨/60歳女性)
しかし、「今後はネット通販の販売比率に頼らざるを得なくなる」と指摘するのは、前出の流通アナリスト・鈴木氏。
「現状ではGMS(総合スーパー)の不振を取り戻すために“目的買い”の客を店に呼び込めたり、コンビニの店舗網を拠点にすることで“ついで買い”などの顧客接点を増やしたりできる点でオムニチャネルは有効なツールです。
ただ、これからは地方を中心に人口減少はますます進んでいきますし、いくら店を構える物件開発に優れ、資金が潤沢にあっても働き手すら十分に集まらない。それならば、ネット販売に力を入れたほうが新たな設備投資の心配もなくなります。あと5年もすれば流通業態の仕組みは激変していると思います」(鈴木氏)
店舗が先か、ネットが先か――。オムニセブンで商品を注文しコンビニで受け取った客の6割が店舗での「ついで買い」をしているというが、実店舗の強みをどこまで活かし切れるかが、オムニチャネルの将来性を左右するといえるだろう。そして、根本的なことを忘れてはなるまい。鈴木氏がいう。
「店舗でもネットでも、より信頼できる魅力的な商品をたくさん揃えることができなければ、売り上げ拡大が見込めないのは当然です。その意味では他グループとの連携や有力メーカーの囲い込みなどが一層激しくなるでしょう」
アマゾンや楽天もコンビニでの受け取り強化や、自宅への配達の速さを競っている。オムニチャネルの覇権をめぐる「流通革命」は、業界の勢力地図をガラリと塗り替える呼び水ともなりそうだ。