大御所のスターといえば、ひとたび登場すれば、緊張感が高まり、画面を引き締める抜群の存在感を発揮するが、それだけにときにコミカルな表情を見せれば、大きなインパクトとなり、笑いにつながる。2015年、そんなスターたちの活躍が目立ったという。コラムニストのペリー荻野さんが大御所たちのおとぼけシーンを振り返る。
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一年を振り返るこのシーズン。今年一年、テレビを見て感じたのは、芸歴数十年の重鎮俳優たちがくすりと笑わせてくれるおとぼけシーンが目立ったことだ。
朝ドラ『まれ』には、中村敦夫と田中泯、重鎮ふたりが出演。輪島塗のベテラン弥太郎(中村)は物語の中盤、自作の展示会のため横浜に乗り込む。その横にはなぜか塩づくりの名人元治(田中)の妻で口が悪い文(田中裕子)が。弥太郎は「文ちゃんとディナーや、ほなら!」と超ご機嫌。一方、「弥太郎さんと旅に出ます」と置手紙された電気もつけない部屋でがっくり。芸能界のW強面重鎮が泣いたり笑ったりがっくりしたりのとぼけっぷりが印象に残る朝ドラであった。
また、「この人なら間違いない!」と毎回笑わせてくれたのは『釣りバカ日誌』の西田敏行。先日の最終回でもやってくれた。いろいろあって、ホテルの一室で白いガウンを羽織って、やれやれと一休みするスーさん(西田)とみち子(広瀬アリス)。そこに押しかけてきたのはみち子の父(石黒賢)とハマちゃん(濱田岳)だった。ガウンの二人を見て「そういうことなの!?」と怒り心頭の父は「ち、違いますから」と言うスーさんを叩きのめして大騒動。西田スーさん、お見事。
一方、CMでは、意外な展開が。『マルちゃん正麺』のCMは、ずっと役所広司が「うそだと思ったら食べてください」と堂々とした存在感を示していたが、今年、突如、それが侍バージョンに。