国際情報

中国で公園が政治化 共産党のイデオロギー宣伝用看板が乱立

「共産党人」公園内のアニメ人形調の紅軍兵士

 中国共産党のテーマパーク(コンセプト公園)が武漢にオープン──このたび米CNNがこう題したニュースを発信した。党と中国の歴史を遊びながら学べるとの触れ込みだが、児童を対象にした新施設の建設は、中国の思想教育が新たな段階に入ったことを示唆している。ノンフィクションライター・安田峰俊氏が現場に赴いた。

 * * *
 長江中流域の肥沃な大地。閑静な住宅街に囲まれた湖畔に、美しい公園が広がる。息子と遊ぶ父親、ベビーカーを押す母親、四方山話に花を咲かせる老婆たち。絵に描いたような幸福な日常だ。

 だが、他の公園とはひとつ大きく異なる部分がある。敷地の全体に、中国共産党や習近平政権を賛美する立て看板やオブジェが溢れているのだ。生々しい「政治」が市民の暮らしに完全に溶け込む様子は、言い知れぬ不気味さがあった。

 ここは湖北省武漢市内にある南湖幸福湾水上公園。今年9月28日、「共産党人」をテーマとしてオープンした、敷地面積30万平方m(東京ドーム6.4個分)の広大な主題公園(コンセプト公園)である。入場は無料で、いまやすっかり近隣住民の憩いの場だ。

 それでは、北側の入り口から順を追って、共産党公園のツアーにご案内しよう。まず、入場の際は大量の中国国旗と、地元出身の過去の解放軍軍人や党関係者の解説パネルがお出迎え。さらに湖をぐるりと囲む1.5キロ程度の遊歩道には、東方向に結党から現在までの党史を解説するアーティスティックな23枚の立て看板、西方向に党の「英雄」29人の彫像がずらりと並ぶ。党史の看板には、習政権の功績を讃える内容も多い。

 そして公園の東端には、習政権が目下宣伝中のイデオロギー「社会主義核心価値観」の12個の標語をかたどった立方体のオブジェがどっしりと鎮座する。

 のどかな公園には不似合いなことに、周囲には数人の警備員が常駐。筆者はカメラを構える様子を見咎められ、早々に退散した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン