安倍晋三首相、朴槿恵大統領の日韓首脳会談がやっと実現した(2015年11月2日)。お互い就任以来、初めての首脳会談となる。安倍首相が「無条件で会うべき」といってきたのを、朴大統領が「慰安婦問題を解決してもらわなければ会わない」と突っぱねてきたが、慰安婦問題の解決は先送りして会ったのだから、安倍首相の“粘り勝ち”ということになろう。
韓国が、理由はどうあれ3年近くも日本との首脳会談を拒否してきたことに、双方の同盟国である米国は「いい加減にしろ」と強い不満を抱いていた。しかも韓国は日本には疎遠にしながら中国とはベッタリだから、米国は業を煮やした。2015年10月、ワシントンにやってきた朴大統領には相当、ネジを巻いたに違いない。
ただ、こうした米国の“圧力”もさることながら、朴大統領は国内からも圧力を受けていた。これは2015年4月の安倍首相の訪米や、同年9月の朴大統領訪中(天安門軍事パレード参観)の後、国民は潜在意識の中で日本との関係悪化が続くことを不安視するようになったからだ。
知識人や街の声として「理由はともかくこのままではよくない。日本とも早く首脳会談をやるべきだ」との意見が広がっていた。あの反日好きのマスコミ論調さえ「早期開催論」でほぼ一致していた。
韓国人はその置かれた地理的環境や民族的体験からして、周辺のパワー国との不安な関係にはことのほか敏感だ。日本は嫌いでも、いや嫌いだからこそ不安になるのだ。何事につけ性急な彼らは“焦れったさ”には耐えられない。
ちょうど同時期にソウルで日中韓3国首脳会談があったため、潮時でもあった。特に日本としては韓国相手の場合、外交もビジネスも焦らすのが勝ちである。安倍首相の“粘り腰”に、頑固が定評の朴大統領も音を上げたかたちだ。