仮にホンハイによる会社買収を跳ね除け、ジャパンディスプレイがシャープの中小型液晶技術を手中にできたとしても、次なる障壁が立ちはだかる。ジャパンディスプレイとシャープの液晶パネルシェアを合わせると世界で3割超を握ることになり、中国などで独占禁止法に抵触する恐れがあるのだ。
「特に中国の独禁法の判定は外部からクリアになっていないため、申請が通るかどうかは予測不可能。かつてパナソニックと三洋電機が統合した際も、車載用のニッケル水素電池などで難航した」(前出の経済誌記者)
もちろん、中国にも有力なパネルメーカーはあるため、法の根拠を開示しないのをいいことに、日本メーカーが排除される可能性は否定できない。
いずれにせよ、これ以上シャープの再建に時間をかける余裕は残されていない。年度内には国や銀行団も交え、液晶売却の方向性が決まる予定だ。残る白物家電の分野も東芝との統合が囁かれるなど、シャープの単独ブランドは次々と消えていくことになるだろう。
本社内ではオフィスの電気やエレベーターの間引き稼働や、各部署で購読していた新聞や雑誌が打ち切られているとの報道も出ており、いよいよ会社存続に切羽詰まった状況がうかがえる。
前出の安田アナリストは、「不採算分野をうまく切り離し、他社との協業も“技術を売って生き残る”という商売ができればシャープのブランドも残せるはず」と指摘するが、果たして……。