1枠2番の絶好枠、祐一君が巧い競馬で直線先頭に並びかけたものの、大外からグランプリボスに差されてしまいました。
グランプリボスは翌年NHKマイルカップでGI2勝目、2着リアルインパクトは、なんと3歳で安田記念を制覇している。両馬とも日本を代表するマイラーだったのです。4着だったサダムパテックは、翌年のクラシック路線で勝つことはかないませんでしたが、4歳になってマイルCSを勝っています。名マイラーになるための最初の試金石がこのレースということがいえます。
リベルタスはクラシックでこそ結果を出せませんでしたが、その後は2000メートル前後の条件戦をコツコツ勝ち上がり、7歳になった今年、ついにオープンにまで出世しました。良績を出したのはいずれも2000メートル以上のレースです。マイルには適性がなかったということでしょう。
馬の心が折れるのは惨敗ではなく僅差で負けたとき。リベルタスは長距離輸送を経て中山1600メートルのタフでトリッキーなコースを走り、1着に0.1秒差で敗れた。「疲れたよ。中山の1600は、もうこりごりだ」。西へ帰る馬運車の中でそう思ったかもしれません。申し訳ないことをしてしまいました。
師走のこの時期、有力2歳馬にとって大事なのは来春への「ものさし」を見つけること。朝日杯ではそれが適いにくかった。昨年からは直線の長い阪神の外回り1600メートルに変更になりましたが、クラシックに直結しないという意味では同じ。「マイル適性」の見極めが大切です。
※週刊ポスト2015年12月25日号