「爆買い」と「トリプルスリー」に決まった2015年の流行語大賞。安倍晋三首相の「一億総活躍社会」もトップ10に入ったが、安倍首相は受賞式に出席しなかった。流行語大賞の審査員を務める漫画家のやくみつるさんと女優の室井滋さんが授賞式の夜に行った初対談をお届けします。
やく:現政権はこの賞とは距離を置いているようですが、小泉政権の時は非常にフレンドリーでしたよ。いちばんシャレの利かなそうな野中広務さんも登壇してくれました。ああいう強面の人がゆるーくおいでくださると、非常にありがたい。
室井:「毒まんじゅう」でしたっけ、2003年ですね。やくさんはもうその頃には審査員をされてたの?
やく:えーと、たしかその前年、アザラシの「タマちゃん」が受賞した年から。今年で14回目か。
室井:長いですよね。特別印象に残っている言葉ってあります?
やく:2006年の「格差社会」。その当時もこれは強い言葉だなと思いましたし、以降もその状況がどんどん広がる一方なので。21世紀を通じて流れる強い言葉、恐ろしい言葉だという気がします。室井さんは?
室井:うーん、なんだろう。審査員をやってみてわかったのは、知らない言葉がたくさんあるってこと。最初は100語渡されるじゃないですか。今年だと例えば「刀剣女子」、全然知らなかったけど調べてみたらけっこうおもしろいの。持ち手のところにかわいい細工があったり、脇差しとセットになっていたり、若い女の子が惹かれる理由もちょっとわかるなと思って。やくさんはどうですか、知らない言葉ってあります?
やく:それはもう、むやみにありますよ。でも別に無理矢理乗っかる必要もありませんし、素直に言葉として楽しむだけです。私は審査員の仕事が基本的に大好きですから。
室井:そうなの?