匿名のツイッターで山口組分裂騒動の内部情報をつぶやき続ける「組長」なる人物。正体をめぐって憶測飛び交うツイッター組長にフリーライターの鈴木智彦氏が接触、メディア初のインタビューに成功した。鈴木氏は組長に実際に会って「本物」であることを確信したという。
現在は引退し、香港に滞在中の「組長」は、ヤクザが生き残る道を“海外”に見いだす。元ヤクザ側の視点としては、興味深い。以下は「組長」の語りである。
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暴排条例が施行され、ヤクザは国内で飲食店や不動産を経営するなどの「生業」を持つことができなくなりました。隠れ蓑を使っているけどあれこれ大変です。そのため残された儲けられるシノギは全部違法なことになってしまった。警察のいう伝統的資金源……博奕、売春、覚せい剤です。
頭のいいヤクザは、そんなリスクを冒して捕まるのは馬鹿らしいと思っている。金融取引のプラットホームは全部海外。海外なら規制がかからないところがいっぱいある。個人ばっかり儲けることを考えずに、組織で海外に出向き、資産運用をすればいいんです。
たとえばシンガポールなり香港なり、お金さえしっかり貯金しておけば、銀行は秘密を守るし、融通は利くし、なんでもしてくれる。ベースになる国に税金をしっかり払ってやって、日本に持ち込む際にはさらにしっかり税金を払って、誰からも文句を言われない金を作れば堂々と使えます。すると警察はなにも言えません。世間の見る目も変わるでしょう。
今は対症療法ばかりやってるけど、根本的な治療をしないと死んじゃいますよという話です。考えてないわけじゃないけど、そこまでヤクザの未来を考えてる人の意見が吸い上げられていない。でも皮肉なことに喧嘩だって金がないと出来ない。悲しいけど抗争=金です。キャッシュフローがある組織は、体懸ける若い子もいっぱいいるし、その後の面倒もみられます。
元来、貧困とか差別がヤクザの原点です。みんないい暮らしをしたいからヤクザになった。金を与えてあげれば組織は絶対に大きくなる。そしてどんどん若い人間を登用すればいい。
伝統を守らなきゃいけないところは死守する。でも時代にそぐわない古い体質、直参じゃなきゃダメなんて考えは捨てるべきです。日本企業と同じ欠点を、ヤクザもまた持っている。欧米の企業のように実力主義に切り替えないと生き残れません。とにかくなにもかもが裏目に出てる。