放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、絶好調の朝ドラと民放各局のワイドショーの熾烈な戦いを暴露。
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テレビの企画会議や、視聴率が出た際に用いられる「裏環境」なる言葉。担当する番組の裏番組がレギュラー通りなのか、それともイレギュラーなのか。「この日の裏環境は…」「フィギュア(スケート)で3(層)は、テレ朝に来るから、ウチは2(層)狙いで」などとテレビ誌のコピーを片手に、少しでも視聴率が獲れるよう、ああでもない、こうでもないと戦略をたてるのである。
もっとも、テレビ誌に事細かな番組内容が出ているワケでもなく、せいぜい、番組のあるなしや、スペシャルか否か、時間の切り方などがわかればいいほう。
事情通を気取る編成マンが広告代理店から入手してきた先々のラインナップがこっそり配られて…なんてことも過去にはあったが、それが間違っている場合もあって…(苦笑)。結果、“裏かぶり”のような内容になってしまった大失敗もある。
こうしたトークは、たいていゴールデンやプライムタイムの番組会議で聞かれるのが常だが、実はいま、裏番組の動向をもっとも気にしている時間帯の一つが、朝の7時台、8時台。在京局でいうなら、『めざましテレビ』~『とくダネ!』(フジテレビ系)、『ZIP』~『スッキリ!!』(日本テレビ系)、『グッド!モーニング』~『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)などがオンエアされている時間だ。そして、裏番組の中で最大の敵は、“朝ドラ”こと、NHKの連続テレビ小説なのである。
ご存知のとおり、いまはNHK大阪放送局制作の『あさが来た』が絶好調。ついに27%を超える日もあった(ビデオリサーチ・関東地区)。
かつては、その視聴率で“西低東高”と言われた朝ドラだったが、『カーネーション』『ごちそうさん』『マッサン』そして『あさが来た』…と、近年は東京制作よりも大阪制作のほうが評判も数字も調子がいい。
『あさが来た』は“オーディション200連敗”とのウワサもあるほど鳴かず飛ばずだったモデルで女優の波瑠がヒロイン。玉木宏、宮崎あおい、近藤正臣といった豪華脇役陣に加え、「五代様」(ディーン・フジオカ)や、二人の番頭=「雁助」(山内圭哉)「亀助」(三宅弘城)なども大人気で、『女性セブン』を始めとする女性週刊誌は毎週のように『あさが来た』を特集している。
地上波は8時から。BSプレミアムでは7時30分から『あさが来た』を、7時15分~30分は、『どんど晴れ』の再放送をしている。『どんど晴れ』の前は、あの『あまちゃん』が再放送されていた。
その時間帯、民放の生番組の毎分(視聴率の折れ線グラフ)を見てみると、明らかにNHKに持って行かれている凹みが確認できる。
朝ドラが調子がいいと、その後の『あさイチ』の数字も良く、朝ドラファンの中には、「『あさイチ』の冒頭、イノッチ(V6井ノ原快彦)や有働サン(有働由美子アナ)、柳沢さん(柳沢秀夫氏)と感想を分かち合うまでが朝ドラ」と言い切る者も多いのである。
それに乗っかって、件の脇役陣を紹介する芸能コーナーがあっても良さそうなものだが、大半のテレビ局では、主題歌の『『365日の紙飛行機』(AKB48)をBGMに使うことさえ禁止。聞けば、「編成からストップがかかっている」というのである。