2015年夏、中国発の株暴落で海外のヘッジファンドはそれまで好調なパフォーマンスだった日本株を売却し、結果、日本株は突出した下落を記録した。その後、外国人投資家は日本株にたいしてどのようなスタンスで臨んでいるのか。その動向について詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役の宮島秀直氏が解説する。
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ヘッジファンド勢は、ここに来て、売却した日本株の買い戻しを、少しずつ始めている。 そして、年初来、1兆円以上の日本株を買っていた、外国人投資家の今年のもう一方の主役である『グローバル・サステイナビリティ・ファンド』(日本の「企業価値向上ファンド」に相当する)の買いが、再開されたようだ。
これまで、外国人投資家が日本株を買ってきた大きな理由である、ここ1~2年続いた日本企業の株主還元に対する積極的な姿勢が、今年に入ってやや後退していた。自社株買いを実施する企業が順調には増加せず、ROE(株主資本利益率)の上昇も頭打ちが鮮明となっていたのである。
加えて、コーポレートガバナンスにおいても、日本企業に対する評価は厳しくなっている。東芝の不正会計問題に続いて、旭化成の関連会社の不祥事が起き、日本企業への不信感がくすぶっているのだ。
そのため、『グローバル・サステイナビリティ・ファンド』は、しばらく様子見スタンスをとっていたのだが、11 月に入って、徐々にではあるが動き始めている。
具体的には、村田製作所、ヤマハ、日東電工、日本電産、大和ハウス、シスメックス、キーエンスといった銘柄を買っているのだ。
これらの企業は、ROA(総資産利益率)が世界平均を大きく上回り、DE比率(総負債/普通株資本総額)が50%を割っているという、外国人投資家が好んで投資する優良株群。それが、直近の決算で、もともと高かったROEの上昇傾向が確認され、今後、株主還元の積極化が期待できる、というわけである。