年末になり、その一年の税金のことが気になる季節になった。今年は、信販会社なども「ふるさと納税」をおすすめしてくる。経営コンサルタントの大前研一氏が、ふるさと納税や「ふるさと割」がいかに間違っているのかについて解説する。
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「ふるさと納税」や「ふるさと割」が話題になり、テレビ、新聞、雑誌、ネットで賢い利用法などが紹介されている。
簡単に説明すると、「ふるさと納税」は、自分が選んだ自治体に寄付を行なった場合に寄付額のうち2000円を超える部分について所得税と住民税から原則として全額が控除される制度(上限あり)で、特産物が返礼品として用意されている自治体もある。
「ふるさと割」は、地方創生事業の1つとして2014年度補正予算に盛り込まれた「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を利用して自治体が発売するプレミアム付きの旅行券や商品券で、対象県に旅行する宿泊プラン料金から助成が受けられたり、対象市区町村で買い物をする時に一定割合を上乗せした金額分が使えたりするという。発売してすぐに完売した自治体も多く、幹部らのまとめ買いが続出して問題になったほど人気を集めている。
しかし、これらのほかに地方の話題といえば「ゆるキャラ」と「B級グルメ」くらいである。政府は地方創生だの地域活性化だのと声高に叫んでいるが、まるで学芸会だ。地方創生や地方活性化とはかけ離れた無駄遣いを奨励し、税金を絡ませて地方の衰退をますます加速している。
これからは地方が自力で生き延びていけるようにしなければならないのに、「ふるさと納税」や「ふるさと割」は、衰弱している地方を延命するためにカンフル剤を投与してやるという発想だ。これは根本的に間違っている。