12月2日、5日のJリーグチャンピオンシップでガンバ大阪を下したサンフレッチェ広島は、FIFAクラブワールドカップに開催国枠で出場し、3位に輝いた。20日に行なわれたアジア代表の広州恒大(中国)との3位決定戦では、視聴率10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を獲得。日曜夕方にもかかわらず、2ケタに乗せて世間の関心の高さをうかがわせた。
一方で、過密日程に対して、「選手の疲労度を考慮すべき」など批判的な声も上がっている。サンフレッチェは2日、5日のチャンピオンシップに続き、クラブワールドカップでは10日、13日、16日、20日と試合が続き、わずか19日のあいだに6試合をこなすハードスケジュールとなったからだ。
出場選手からも同様の声が出ている。Jリーグ通算得点で中山雅史に並ぶトップの記録を持ち、日本プロサッカー選手会会長のFW佐藤寿人はチャンピオンシップについて、「(年間優勝を決める)大事な試合を疲れている中で、あえて中2日にする意味が分からない」と疑問を呈していた。スポーツライターが話す。
「たしかに厳しい日程だと思います。チャンピオンシップはもう1日空け、今年のJリーグ最後の試合にすべきだったかもしれません。ただ、チャンピオンシップからクラブワールドカップに続く流れは、Jリーグにとって、世間への格好のアピール材料になったことは間違いありません。
最近のJリーグは一部のコアファンしか見ない競技になっており、一般の人たちの会話に上がることも少なくなっている。Jリーグが興業としてもう一度、注目されるためには、地上波テレビのゴールデン帯で中継されることは、非常に大事なことです。そのためには、批判を覚悟のうえで、世界基準に合わない『2ステージ制でのチャンピオンシップ』という形を取らざるを得ない側面もあったのでしょう」
実際、Jリーグは新規ファンの獲得に悩んでいる。J1の1試合平均観客動員数はここ15年で最も多かった2007年の1万9066人から徐々に減少し、今年を含めた直近4年間は1万7000人台に落ち着いている。そのなかで、Jリーグに興味のない層を惹き付ける可能性のある短期決戦のゴールデン帯での中継は重要だというのだ。
チャンピオンシップはともに地上波ゴールデン帯で放送され、2日は7.6%(TBS系)、5日は10.4%(NHK)を記録。特に2日の試合は、広島が土壇場で大逆転をする劇的な展開だったこともあり、それが5日の高視聴率につながったと考えられる。
しかし、広島の佐藤寿人は「昼開催にしてもらわないと、僕たちが(優勝決定後のスポーツ番組出演を)終わるのは一体、何時になるのか」「Jリーグをアピールする絶好の機会。昼にやれば試合後の時間をメディア出演など有効に使える」と夜間開催に苦言を呈していた。前出・スポーツライターが語る。