高額物件の売れ行きが好調といった景気のよい話題が出てくると、周囲からよく聞かれるのが「今はバブルなのか?」という質問だ。答えを先にいえば、バブルではない。もしバブル期であれば、必ずスプロール(外側に広がる動き)という現象が生じるからだ。
たとえて説明すれば、価格高騰が都内全域に広がって都下(23区を除いた市町村)でも4000万円台のマンションを買えなくなり、他県までその価格帯の物件を探しにいかないと見つからないような状況が出てくるのが、「バブル」なのである。
だが、現在はそういう状況ではない。億ションが売れる都心のブランド地区は一般のサラリーマンには手が出しにくい高価格水準にあるが、23区内には手が届きそうな安値水準のエリアも多い。同じ23区でも価格帯に濃淡があり、都心よりも価格が安い下町エリア内でも台東区や江東区は価格水準が比較的高く、足立区や江戸川区は低価格水準にあるなど二極化が進んでいる。
首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)をみても、都下、千葉県、埼玉県などでは価格が低い水準のままのエリアも目立つ。たとえば、都下で根強い人気がある武蔵野市、三鷹市は価格水準がかなり高いが、その外周部に視野を広げれば、調布や府中など手ごろな価格水準の地域もある。
一方、郊外であっても、東京都立川市や川崎市中原区など、開発が進むエリアは価格が上昇している。この傾向は当面、続くだろう。
※マネーポスト2016年新春号