2015年の日本経済を振り返ると、株価や雇用の面などで、「1992年以来23年ぶり」「1997年以来18年ぶり」というデータが続出するなど、景気回復を示すシグナルが数多く点灯した。それでは、2016年の日本経済はどうなるか? 「景気のジンクス」を読み解くスペシャリストとして知られる三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの宅森昭吉氏が解説する。
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明るいシグナルが多く点灯した2015年だったが、2016年の日本経済も底堅く推移していくと考えている。エコノミストによる日本経済の将来予想をまとめるESPフォーキャスト調査でも、2016年は多くが景気上向きと回答、特に10~12月期は翌年に控える消費増税の駆け込み需要もあって全員の予想が景気上向きで一致した。
心配されるのは2015年夏のチャイナ・ショックの震源地となった中国経済の先行きだが、10月に実施したESPフォーキャストの特別調査では、中国景気を示す代表的な指数である製造業PMIが2016年も下降すると答えたエコノミストは全四半期を通して2割以下にとどまり、第3四半期以降は6割以上が上昇と回答した。中国景気はゆるやかに改善し、後半に行くほど持ち直すというのが専門家のコンセンサスだ。
さらに、2016年は米大統領選と夏季五輪というビッグイベントが控える4年に1度の「ボーナス年」でもある。
過去の記録をみても、大統領選の年はアメリカのGDP成長率が高いというデータがある。選挙を有利に進めるため、大統領選に照準を合わせて景気対策が行なわれるからで、この傾向は共和党と民主党どちらの政権であっても変わらない。米国経済が上向けば、当然、世界中の経済が好影響を受ける。
また、OECD諸国の実質GDP成長率も、夏季五輪の年は前年を上回ることが多い。大舞台での選手の活躍やメダル獲得のニュースは人心を明るくし、景気を上向かせるのではないだろうか。開催国の株価が開催年年初に前年を上回る傾向もあるので、低迷が続くブラジルの株式市場にも注目したいところだ。