コラム

元ドイツ証券副会長「日本経済は20年の雌伏を超えて復活へ」

元ドイツ証券副会長の武者陵司氏

 2015年は中国経済の失速が顕在化し始め、これまで3年間、右肩上がりで上昇してきた日本株も、その上昇スピードを緩めざるをえなかった。元ドイツ証券副会長・武者陵司氏は、「2016年の世界経済は、拡大する世界経済と失速する中国経済の綱引き、という構図が当てはまるのではないか」と分析している。それが日本経済にどんな影響を与えるのか、武者氏が解説する。

 * * *
 肝心の中国経済がどうなるのか、失速から底割れに至る可能性はないのか、といった点について検証をしたい。

 中国の金融当局は、人民元の維持に躍起だ。9月以降、外貨予約取引(売り取引のみ)の制限、個人の外貨転換の制限など資本規制を強化し、投機的な人民元売りを抑え込んだ。急減していた外貨準備高の減少ペースも鈍化したことで、人民元問題は小康状態に移行。人民元の暴落から世界金融危機に至る悪連鎖は遮断されている。

 同時に、利下げや、インフラ向け支出の拡大といった財政出動も表明し、一定の効果を上げている。当面、人民元の暴落、中国経済の底割れは回避される可能性が高いのではないか。

 ただ、中国当局が実施しているこれらの対策は、一時逃れの壮大な弥縫策(びほうさく)に過ぎない。これが中国経済の安定化と持続的成長をもたらすかは、はなはだ疑問である。しかし、まったく意味がないとは考えていない。次に想定される中国ショックまでに、時間を稼げるからだ。

 次に中国ショックが発生した場合、主要国は協調して景気対策を打ち出すことができる。例えば、米国の利上げの先送り、日欧では追加の量的金融緩和、そして主要国が協調した財政政策による需要創造などである。結局のところ、中国リスクは、今の世界経済の成長シナリオに大きな影響を与えるものではないのだ。

関連キーワード

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン