測量学の世界的権威である村井俊治・東大名誉教授の「MEGA地震予測」は、抜群の的中率で本誌読者をたびたび驚かせてきた。GPSデータに基づく予測法は、今も日々精度を高めているが、2016年、地震列島・日本の最警戒ゾーンはどこになるのか。村井氏は「2016年も警戒を怠るべきではない」と語気を強める。
「昨年下半期には、7月、8月、9月、11月と複数回の全国一斉異常変動が見られました。過去のデータと照らし合わせると、異常変動から半年間は大地震の発生するリスクが非常に高くなっている。2016年春頃までに大きな地震が起こる可能性は高いと考えています」
最も警戒すべきはどの地域か。具体的に見ていく。
村井氏のMEGA地震予測は、自身が顧問を務める民間会社JESEA(地震科学探査機構)が、メールマガジンなどで展開する予測法だ。全国の「電子基準点」のGPSデータから地表のわずかな動きを捉え、地震発生との関連を分析する。
1週間ごとの基準点の上下動による「異常変動」、地表の長期的な「隆起・沈降」(上下動)、地表が東西南北のどの方向に動いているかの「水平方向の動き」の3つを主に分析し、総合的に予測する。
村井氏が、最近の動きから警戒を強めているのが、前記の3指標すべてで異常が見られた「首都圏・東海警戒ゾーン」だ。
「特に注目しているのが伊豆諸島です。昨年5月の小笠原諸島西方沖地震(神奈川・二宮町などで震度5強)以降も異常変動が頻発しています。さらに昨年9月の東京湾地震以降も隆起・沈降、水平方向の動きが拡大しており、まだエネルギーは放出しきっていないと考えられます。
多くの人は首都直下型地震ばかりを心配しますが、どこが震源になっても地盤の緩い首都圏は大きく揺れる。実際、2014年5月の伊豆大島近海地震では震源に近い大島は震度2でしたが、千代田区では震度5弱を記録しました」(村井氏)
では現在、この「首都圏・東海警戒ゾーン」で何が起きているのか。短期的な地表の上下動データから読み取れる「異常変動」では、2015年7月以降、大島、三宅島、御蔵島などで5cm以上の変動が複数回見られ、中でも八丈島は8月初旬に7.78cmの変動が確認された。