国内小型株中心の運用で「R&Iファンド大賞」を4年連続で受賞した「ひふみ投信」の運用責任者・藤野英人氏によると、2016年の日本株は「上値は重いが、下値も底堅く、いわば下げにくく上げにくい展開が予想される」という。そうした中で、「買っていい株」と「買ってはいけない株」にはどのようなものがあるのか。藤野氏が解説する。
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上にも下にも大きく動きにくい相場が予想される2016年は、まさに投資家の手腕が問われる1年となるだろう。そんな状況下では、あらかじめわかっているようなリスクは極力排除しておいた方が賢明といえる。
筆頭が12月に実施された「米利上げ」の影響だろう。これまで続いてきた世界的な低金利下で、債券主体で運用する国内外の債券ファンドマネージャーは利回りが期待できない債券から、高配当が望めて価格変動リスクの小さい株式へと運用先をシフトさせた。その結果、従来は目立った値動きのなかった食品株や薬品株などディフェンシブ銘柄の一角が大きな上昇を見せてきた。
しかし、利上げに伴って債券の利回りが上昇することで、彼らが手を引くのは必至である。この先、上がりすぎたディフェンシブ銘柄には警戒感を持って臨むべきだろう。
また、利上げに伴うドル買いで円安が進行すれば、輸出関連の大企業にとっては追い風となるが、それは原材料や食料などの輸入品が高くなることにつながるため、消費者にとってはいいことずくめではない。
そもそも安倍政権は大企業が潤えば、その利益が国民に広く行き渡り、景気回復につながるだろうと考えてきたが、現状ではそうなっていない。その辺りは政治家も敏感に察知しているようで、「円安誘導でインフレにすればすべてうまくいく」といった言い回しに懐疑的な見方が増えつつある。何よりアベノミクス「新3本の矢」(※注)でデフレ脱却というニュアンスがトーンダウンしているのが、その証左といえるだろう。
【※新3本の矢/安倍晋三首相が「一億総活躍社会」を実現すべく打ち出した、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の政策目標】