モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、燃費が悪く故障が多いというイメージが強かったが今は劇的に改善されたアメリカ車、しかもモテ車であるアメリカンSUVについて解説する。
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ご同輩諸君。アメリカ車と聞いて、思い起こすことはなんだろう。「ガス食い」とか「エンジンルームにコーラの壜(工員がクルマを作りながら飲んでいて置き忘れた)」といったネガティブなことかもしれない。信頼性が高いと思っている方など皆無に近いだろう。
だが、その発想はもはや時代錯誤も甚だしい! そりゃまあ、信頼性は日本車よりは多少低い。が、アメリカの評価では、その差はわずかだ。大手調査会社のJ.D.パワーによる昨年の品質調査では、シボレーやリンカーンがトヨタの上に来たほどだ。
これまで43台のクルマを買ってきた私に言わせれば、21世紀以降、世界の自動車の品質はほとんど均質化している。どのブランドに乗ってもそう故障するものではない。せいぜい日本車の2倍故障する程度だ。日本車の故障がゼロなら、その2倍もゼロ。心配することはない。
アメリカンSUVは、伝統的に美女の評価が高い。美女はでっかくて見晴らしがよく、ぶつかっても丈夫そうなクルマを好むが、アメリカンSUVはまさにソレ。先入観を捨て、一度トライしてみてはいかがだろう?
そこでオススメモデルだが、一番手はフォードのエクスプローラーだ。さすがアメリカンSUVだけにサイズはデカい。幅2m、長さは5mもある。
「そんなデカいクルマじゃ、近所の買い物に不便だよ!」
そう仰る御仁もいようが、乗ってしまえば大したことはない。宅配便のトラックにはこれより大きいものもある。配達に使えて買い物に使えないはずはなかろう。
このデカい図体に積まれるエンジンは4気筒のターボで、排気量はたったの2.3リットル(他に3.5リットルのV6もアリ)。そんなのでまともに走るのか? と思ったら、これが実に力強いし、排気音も「ブリブリブリ!」と心地よい。
こういったいわゆる「ダウンサイジングターボ(小排気量の直噴ガソリンターボ)」技術に関しては、アメリカ車は日本車の上をいっている。本当の話である。燃費も決して悪くない。高速をユルユル流せばリッター12km、街中でも8kmくらいいく。いつまでもガス食いのままでは絶滅してしまうから、アメリカ車だって必死だったのだ。