いま、葬儀業界が大きく変わりつつある。葬儀ビジネスに新規参入した企業が「定額制」による料金の透明化や格安サービスなどを次々と打ち出し、シェアを広げているのだ。
ベンチャー企業のユニクエストは、運営するサイト「小さなお葬式」で葬儀料金の最安プランを19万3000円に設定。2014年5月からは、コンビニで500円支払って申し込みをしておくと、葬儀費用(寺院手配付き)が最大6万6000円安くなる「早割」のサービスを始めた。
この新サービスを考案したユニクエスト創業者である田中智也・社長(37)はこういう。
「起業するにあたって、いろいろな業界をリサーチして、どんなビジネスが人に喜んでもらえるかを考えました。そうした中で葬式の値段が不透明であり、高すぎることに気付いたんです。ネットを使えばこれを透明にできると考え、会社を立ち上げました」
そのユニクエストは、2009年10月に定額プランの「小さなお葬式」のサービスを開始して以来、契約件数を伸ばし続け、2015年度は2万件を超える見込みだという。ただ、その間には多くの反発があった。
「“インターネットで葬儀が売れるか”と嫌がらせ電話を受けたこともありますし、うちのやり方を批判する葬儀業者に8時間近くお説教されたこともありました(笑い)。でも、お客様から電話で問い合わせがあった時に価格が即答できない商売なんておかしい。その思いで今日まで続けてきました」
都市部への人口移転や核家族化により、寺院と檀家のつながりがどんどん希薄になり、葬儀の簡素化を求める時代の流れも、新興企業の追い風となっている。
しかし、今後も「透明化」がスムーズに進むかはわからない。そうした新手法に異議を唱える勢力も存在するからだ。