いつの時代でも家族の問題として立ちはだかるのが嫁と姑の関係だ。ひと昔前なら、姑による嫁いびりが当たり前だったが、時代が変わるとともに、嫁に干渉しない姑も増えているという。家族問題評論家の池内ひろ美さんはこう話す。
「私たちの間でも、今のお嫁さんはいいよね、という話をよくします」
池内さんの世代はちょうど今、「嫁」から「姑」に変わる世代。池内さんがかつて嫁だった時代には、お正月とお盆は必ず夫の実家に帰省するのは当たり前のことだった。年末になると白いエプロンを持参して、姑と一緒におせちを作り、大掃除。義両親に渡すお年賀のお菓子や、お年玉まで準備したという。
「帰省するのが嫌で、なんとか仮病を使ってでも逃れる方法はないかと毎年思っていました。でも逃れられない。そんな時代でした。今はそんなことないですよね。夫と妻がそれぞれの実家に別々に帰省するというご夫婦も珍しくないですし、ベッキーなんて、“親しい友人”なのにお正月に相手の実家に行ってしまうんですから。そういうかたを実家も受け入れる。あのニュースを聞いた時は、日本の文化もここまで変わったかとびっくりしました」(池内さん)
こうした変化の背景には、晩婚化や女性の社会進出による経済的自立、離婚率の増加などが挙げられる。しかし、原因はそれだけではない。大きく影響しているのは子育てだという。
「姑との関係でつらい思いをしてきたお母さんが、息子に、“男だからって威張らないで、女の子にはやさしくね”と言い聞かせて育ててきました。娘を育てるときは“女だからといって我慢しなくていいのよ。自分の意見をもってキャリアを持ちなさい”と。結果として、やさしい夫、物言う妻ができあがったのです」(池内さん)
“鬼嫁”や“肉食女子”に象徴されるように女が強くなり、草食男子がモテる。息子の親は、離婚されたらどうしようと遠慮するようになった。
3人の息子がいる主婦(兵庫県在住・56才)は息子たちの幸せを望みながらも、ストレスを隠せない。