昨年、安保法制をめぐり、学生を中心とした団体・SEALDsが登場し、反対運動を行なった。そこに多くの中高年が同調し、メディアもしきりと彼らを取り上げた。ネットニュースの専門家・中川淳一郎氏と、ネットに一切触れない評論家・呉智英氏が、これらの動きや、昨今ネットで蔓延する「右」や「左」のレッテル貼りについて話し合った。
呉:大人もバカだよね。利用のしようがないじゃない、あんなもの(SEALDs)は。
中川:しかし、いまは何が右で何が左かよくわからなくなっている。原発に反対したらリベラルとか、一つのイシューに反対したらリベラルだといっているだけじゃないかと。
呉:その通り。何にもわかってないんだよ。俺は原発には反対なんだよ。ただ、脱原発って簡単じゃない。まず財界が安く電気を使いたいから原発を支持してるよね。一般民衆も、原発がなくなったら楽な生活ができなくなるとわかったうえで、やめる覚悟があるかどうか。どこの山の村でも海の魚が食えるけど、冷凍して運ぶロジスティックスにものすごく電気を使っているわけでしょ。
中川:坂本龍一は「たかが電気」っていってたけど、電気がなければエレキギターもキーボードも弾けないだろって。
呉:そう、そう。お前ら、昔みたいにハープシコードでも弾くのかと。
中川:「YMO、新たな始動」とかいって、全員、三味線で『ライディーン』を弾けばいい。
呉:ただ、10年、20年たてば、科学の進歩で脱原発できる可能性はあるわけですよ。そのために「お前ら、ちょっと我慢しろよ」と強権発動する人が出てきたら、それは右なのか左なのか。