「あれから1年半ですか…。早いものですね。当時は本当に大変でした。悲しみはもちろん、マスコミが1時間おきにきて、ピンポンを鳴らすものですから。今、ようやく落ち着いた生活ができるようになりました」
冷たい雨がそぼ降る1月29日の正午。神戸市内の自宅で言葉を選びながら話すこの女性は、理化学研究所の元副センター長・笹井芳樹氏(享年52)の妻A子さんである。
2014年8月の笹井氏の自殺は、日本中を揺るがした『STAP細胞騒動』の中で起きた最悪の悲劇だった。愛する家族の死は、どれだけ時間が経とうとも癒えることはない。絶望の底で長く沈黙を守り続けていたA子さんだが、このたび女性セブンの取材に応じた。
理由はハッキリしていた。再び“彼女”が表舞台に立ったからだ。女性セブンがA子さんを訪ねた同日、小保方晴子氏(32才)の手記『あの日』(講談社)が発売された。
「ネットで手記の話を知って。驚きました。読む予定ですか? ないです。読みません。研究のことというより、“自分がいかに苦労したか”という内容だというので、読んでも仕方ない」(A子さん)
初めて語られた妻の肉声には、小保方氏も知らない事実が含まれていた。
《あの日に戻れるよ、と神様に言われたら、私はこれまでの人生のどの日を選ぶだろうか。一体、いつからやり直せば、この一連の騒動を起こすことがなかったのかを考えると、自分が生まれた日さえも、呪われた日のように思える》(手記『あの日』より。以下、《》内同)