執筆したコラム記事が「朴槿恵大統領への名誉毀損」にあたるとして起訴された産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長は、韓国で17か月にわたり法廷闘争を繰り広げた。最終的には無罪を勝ち取ったが、加藤氏が長く韓国を見てきた作家の井沢元彦氏とソウル中央地裁の「無罪判決の実態」を語り合った。
井沢:裁判所は、判決公判の日程を昨年11月26日から12月17日に延期しました。その間、韓国側から「改悛の情を示せ」という働きかけがあったそうですね。
加藤:そうした動きは確かにありました。産経新聞社の社長に対し、韓国政府の意向を受けた日本の政治家らが面会を求めたと聞いています。「謝罪はできないとしても産経新聞として遺憾の意を示せないか。そうすれば韓国側も振り上げた拳を下ろすことができる」などという働きかけです。
井沢:でも加藤さんも産経新聞も「遺憾の意」や「改悛の情」は示さなかった。もしそれを示していたら、韓国は「ほら加藤はやっぱり悪人だった」という議論を振りかざし、言論の自由は守られなかったでしょう。
判決で加藤さんは3時間にわたって立たされたと報じられましたが、裁判所にはどんな意図があったと考えますか。