プロ野球シーズンの始まりを告げるキャンプイン。1年間を戦うための体作りや技術の習得に勤しむが、それだけ大がかりのため、かかる費用も莫大なものとなる。飲食や宿泊代、クリーニング代、球場使用料に人件費、その他諸経費などを合わせると、1球団あたりおよそ1億8000万円はかかると推測される。球団はこうした経費を多少なりともペイしようと、様々な策を練る。
基本的にキャンプでは入場料は取らない。そのため収入源として代表的なのは、キャンプ地の売店で販売する球団グッズとなる。最近はどの球団もキャンプ限定のグッズを売り出し、好評を得ている。
そして見過ごせないのは、キャンプ終盤から3月にかけて行なわれるオープン戦での収入である。最大のドル箱は、やはり巨人戦だ。かつて阪神で球団社長を務めた、野崎勝義氏(現・関西国際大学客員教授)が語る。
「入場料収入が望めるうえ、放映権料が期待できる。だから各チームとも、週末の巨人戦を狙うのです。阪神も土日に合わせて巨人戦を組んでいました。他の11球団は少しでもキャンプ費用の穴埋めになれば、という程度ですね」(野崎氏)
今年のケースで見ると、巨人はオープン戦19試合を予定しているが、そのうちビジターは12試合もある。巨人戦は平均でも1万人の観客が入る。安く見積もって1人1000円としても1試合で1000万円だ。今年も巨人は10チームとの対戦が組まれているが、その理由も頷ける。
だがそこに例外がひとつ。巨人が対戦しないチームが1つだけある。中日だ。
「最後にオープン戦をやったのは2013年で、しかも1試合だけ。巨人-中日戦はオープン戦ではほとんど組まれません。理由は親会社のライバル関係。新聞社はオープン戦の無料チケットを配って販促にすることがあるが、中日・読売それぞれが、お互いの販促に使われたくないということでしょう」(中日担当記者)