女性のがんといえばまず乳がん、子宮がんなど女性ならではのものを思い浮かべがちだが、実は最も死亡率が高いのは大腸がんだ。発症しやすいのは40才くらいからで、発症率のピークは50才とされる。大腸がんの世界的権威である昭和大学横浜市北部病院消化器センター長の工藤進英さんはこう指摘する。
「大腸がんが全がんのうち、死因の第1位になっている原因として、40才以上の大腸がん検診率が30%をきっていることがあげられます。女性の場合、“痛そう”“恥ずかしい”などという理由で、検診から遠のく人が多いのです」(工藤さん。以下「」内同)
しかし、大腸がんは自覚症状がないまま進行するうえに転移しやすく、検診の種類によっては発見できず手遅れになる場合が少なくない。40代半ばにさしかかったら、年1度は信頼できる病院で検診を受けることだ。
◆大腸がんは生活習慣が大きくかかわっている
「大腸がんの原因は実は、いまだに特定されていない部分が多い」と工藤さん。しかし、生活習慣とは密接にかかわっていると考えられている。
例えば腸内環境を悪化させる肥満、便の大腸内停滞時間が長くなり、発がん物質の濃度が高くなる高脂肪・高カロリーの肉食中心の食事のほか、便通を悪くする運動不足も要因となる。そのほかアルコールやたばこなどが主なリスクとしてあげられる。また、免疫機能を崩すストレスも大きな原因の1つだ。
女性に多い便秘も、発がんリスクを高める可能性も考えられ、排便習慣は、やはり身につけたいところだ。
「さらに大腸がん患者の家族の約8%が大腸がんを発症しているというデータもあり、家族に患者がいる人も注意が必要です」
いずれにせよ原因は1つではないだけに、検診や検査は不可欠だ。