プロ野球キャンプは地元経済を潤す一大市場になっている。球団そのものが宿泊や経費などで落とすカネだけでなく、訪れるファンによる経済効果も高い。例えば動員力ナンバー1のソフトバンクでいえば、キャンプ期間中に訪れるファンは30万人。キャンプが行なわれる宮崎県内ホテル、旅館は週末を中心に満員。レンタカーの予約も満杯だ。その恩恵を受けようと、各自治体の誘致合戦が熾烈を極める。
リードしているのは9球団が密集する沖縄だ。2008年にはロッテが鹿児島で行なっていたキャンプを石垣島に変更、2011年からは宮崎キャンプの主役だった巨人が2月後半のキャンプを那覇市に移した。
昨年のプロ野球キャンプについて、琉球銀行のシンクタンク『りゅうぎん総合研究所』レポートによれば、経済効果は88億300万円になったという。過去最高となった2014年の88億8000万円からは微減となったが、依然高い水準を保っていることがわかる。
一方、巨人キャンプの半分を沖縄に取られるという屈辱を味わった宮崎も負けてはいない。こちらは地元九州の地の利を生かした動員力を誇るソフトバンクを抱え、西武や広島、そして昨年からはオリックスがやってきた。
「オリックスは22年間続けていた沖縄・宮古島キャンプをやめ、宮崎・清武に拠点を移した。これは18億円をかけて球場施設を改修した宮崎市の誘致に応えた形です。そのキャンプで16万8000人の観客を集めたことで、市はさらに第二球場や投球練習場を整備。昨年は一軍のみでしたが、今年から二軍も清武に合流することになりました」(オリックス担当記者)
自治体が主導して施設を整え、球団を呼び込んでいるのだ。