実際に、北朝鮮が打ったのは、東京にもアメリカ本土にも向かわない方向だった。日本政府も日本を攻撃するものではないとわかっているから、安心してPAC3を海路で運び、その様をテレビが大げさに報じる。まるで、日朝合作で「極東の緊張」を演出しているかのようだった。国際ジャーナリストの小西克哉・国際教養大学客員教授が指摘する。
「今回のミサイル発射は、実態として緊迫感のないものでした。以前はJアラート(全国瞬時警報システム)が作動しないこともありましたが、もう複数回の発射で、一種、行事化しています。政府や防衛省の対応も、避難訓練のような行事にも見えるが、当日のテレビは緊急特番で報じ、翌日の新聞も白抜き見出しで大きく報じた。結果として、北朝鮮に対して“ご褒美”を与えたも同然です」
※週刊ポスト2016年2月26日号