なかなか他人に話しにくいため、「自分だけでは?」とひとりで悩んでいる女性が多いという尿のトラブル。実は、40才以上の女性の3人に1人が尿もれを経験しているのだ。
尿もれには、恥骨から尾骨にかけた筋肉群・骨盤底筋が大きく関係している。骨盤底筋は、子宮と直腸、膀胱を支えるとともに、おしっこや便、経血をためたり出したりする、排泄の機能をつかさどっているが、女性は出産でその骨盤底筋を傷めやすい。
「出産に加え、40才になると全身の筋肉量が減ることや、閉経期になると女性ホルモンの分泌が低下して、筋肉にはりがなくなることも、骨盤底筋が緩み、尿もれにつながる一因です」と、女性医療クリニック・LUNAグループの関口由紀さん(以下「」内同)。
尿もれは大きく腹圧性尿失禁と、切迫性尿失禁の2つに分かれる。約半数が腹圧性、25%が切迫性で、残りの25%は腹圧性と切迫性が重なった混合性尿失禁だ。
腹圧性尿失禁は、せきやくしゃみ、重たいものを持ったときや走ったときなど、お腹に力が入った瞬間にもれてしまうもの。肥満の人は骨盤内に脂肪があり、腹圧が高いので、症状が悪化しやすい。
切迫性尿失禁は、急な尿意でトイレが間に合わず、尿が漏れてしまう。尿意切迫感があって頻尿の症状を伴う過活動膀胱と関係していることが多い。
腹圧性尿失禁も切迫性尿失禁も、骨盤底筋トレーニングが効果的。1日30~50回行うと、1か月くらいで効果が表れる。尿もれの症状がない人も、予防として1日10回やっておくと安心だ。
骨盤底筋トレーニングで治らなかった場合、腹圧性尿失禁は薬で症状を緩和する治療法や、ポリプロピレンのテープで尿道を支える手術などがある。
切迫性尿失禁は過活動膀胱と関係していることが多いため、わずかな尿量でもトイレに行きたくなってしまうクセを直す膀胱訓練が効果的。尿意を感じてもできるだけ我慢して、徐々に排尿間隔をあけていくのだ。それでも治らない人も薬をのめば、9割の人は症状が改善する。