厚生労働省の見通しによると、2025年には高齢者の5人に1人がなると言われる認知症。決して他人事ではなく、自分の親が認知症になるということも十分に考えられるのだ。では、もしも「認知症かも?」と思ったら、どうすればいいのだろうか?
無理やり病院に連れて行くのは絶対にNGだという。本人にはプライドもあり、「認知症」という言葉にアレルギー反応を起こす場合も多いのだ。川崎幸クリニック院長で、「認知症の人と家族の会」副代表の杉山孝博さんが言う。
「子供が“急いで受診させないと”と焦ると、焦った様子が親にはすぐにわかります。認知症のかたは驚くほど鋭敏ですから。それよりも、例えば風邪をひいて頭が痛いとか、めまいがするといった時に、チャンスと思って病院に行く。その際は医師にあらかじめ『風邪できましたが、実は認知症の疑いがあって、1回検査を受けさせたいのでこの機会にお願いします』と伝えておく。医師がうまく乗ってくれれば『頭が痛い場合、時には脳の病気もあるかもしれないから、今からちょっと検査しましょうね』と誘導してくれます。これなら、嫌がらずに検査を受けてくれるはずです」
ただし、医師のすべてがこうした対応に慣れているわけではない。あらかじめ、あなたから医療相談窓口のソーシャルワーカーに相談しておき、医師に事情を説明しておいてもらうと、よりスムーズだろう。本人に「もの忘れがひどい」などの自覚がある場合も、「精神科」に行くのはハードルが高いが、「もの忘れ外来」や「メモリークリニック」などの看板を掲げているところなら受診しやすいだろう。準備段階だけではない、実際に受診する時にも、家族のサポートは重要だ。