竹島問題もそうだ。国交正常化にあたって、「未解決をもって解決」という棚上げ・現状維持で了解し合った(ロー・ダニエル著『竹島密約』草思社、参照)。いわば「静かな外交」を約束したのだ。
ところがその後、金泳三政権(1993~98年)は島に埠頭を建設して現状変更を強行。さらに盧武鉉政権(2003~08年)は民間人の往来を自由化して島を観光地化し、李明博政権(2008~13年)になるとついに大統領自ら島に上陸してしまった。
日本への外交的配慮も何もあったものじゃない。外交的裏切りの連続である。
李明博政権下では「日韓軍事秘密情報保護協定」が調印一時間前に韓国側が中止を言い出しお流れになっている(2012年6月)。国内で野党やメディアの批判が噴出したため腰が引けてしまったのだ。前代未聞の外交的裏切りだった。
【PROFILE】1941年生まれ。京都大学卒業。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長を経て産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『決定版どうしても“日本離れ”できない韓国』(文春新書)など多数。
※SAPIO2016年3月号