いよいよ今年最初のGIレース、2月21日にフェブラリーSの日がやってくる。この日は、ダートの猛者が府中のマイルに集結する。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、ダート王「カネヒキリ」について振り返る。
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角居厩舎でダート王と言えばカネヒキリです。2005年に3歳でJCダート(当時)をレコード勝ち、翌年のフェブラリーSでは2着に3馬身をつけて圧勝しました。同じ馬主さんで主戦も武豊騎手だったことから「砂のディープインパクト」と称されました。「天馬空を行くがごとし」の快進撃でしたが、そこに到るまで、またタイトルを獲ってからも、いろいろとありました。
母系(ライフアウトゼア)はアメリカの血統で、筋肉質で幅があって四角い体型です。それでもダート向きの固定観念を消し、デビューは芝。2004年夏の新潟、小倉と走らせました。しかし4着、11着と芳しくない。そこで一息入れ、翌2月の京都でダートに変えて初勝利。2週後の中山でも勝ち、強い競馬に手応えを感じました。
そこでもう一度芝に戻してみました。2勝しているので重賞でも使え、勝てばクラシックにも参戦できます。しかし毎日杯では7着。3番人気の期待に応えられませんでした。
この時点で進む道を“砂”に決めました。するとオープンの端午Sと重賞ユニコーンSを圧勝。ディープインパクトと同世代。あえてぶつけていくこともないという判断もありました。
ジャパンダートダービー(大井)とダービーグランプリ(盛岡)を連勝、中央の武蔵野S(2着)を経てJCダートを制し、この年の最優秀ダートホースに選ばれました。
ですが、芝を見切ったわけでもない。ダートレースの追い切りで芝を行なう。スピードを研(みが)くためです。翌年のフェブラリーSのときも芝で追い切りました。これは東京マイルのスタートが芝ということも理由のひとつでした。「どうして芝で?」と武豊騎手に言われたことを思い出します。