昨春、株主総会で委任状争奪戦にまで発展、経営の主導権を巡る激しい“親子ゲンカ”を繰り広げた大塚家具――。
父親の大塚勝久氏を会長職から引きずりおろして勝利した娘の大塚久美子社長は、その後、勝久氏が創業以来築いてきた「店舗の会員制」を廃止すると同時に、「高級家具」中心の品揃えから、中価格帯の家具やインテリア雑貨などを増やす路線へと舵を切った。
久美子社長は生まれ変わった大塚家具をアピールするため、巧みな広告戦略も立ててきた。
昨年4月に開催した「新生大塚家具 大感謝フェア」では、新聞の全面広告で社長名のメッセージを掲載。〈今回の騒動では、責任を痛感するとともに、ご期待の大きさを受け止める〉とし、“お詫びセール”の意味合いを広く印象づけた。
また、消費者に強烈なインパクトを植え付けたのが、昨年7月より流したテレビCMだ。店舗の順次リニューアルに合わせて、家族4人が【新しい大塚家具に行ってみた】という設定だが、驚かされたのがその中身。
家具について熱心に語る店員に父(佐藤貢三)が「語りますね」と話しかけると、すかさず娘(平祐奈)が「父がすいません」とツッコミを入れる。別バージョンでは、カーテンの色を巡って口喧嘩する父娘に母親が「ケンカしない!」と一喝するシーンも。まるで大塚家具で起きた騒動を思い返させるような内容だったことから、瞬く間に話題となった。
〈骨肉の争いを逆手に取ったPR戦略がうまい〉〈クスッと笑える程度にまとめたのでセンスがいい〉〈久美子社長にどことなく雰囲気の似たモデルを配役したところがすごい〉など、ネット上に溢れた感想は、好意的な声が多かった。
そんな反響に味を占めたのか、同社は今年2月20日から前作をシリーズ化させた続編CMを放送している。今作は家族4人の設定を父娘の2人に絞り込み、【“すべてが”生まれ変わった大塚家具に行ってみた】との設定だ。同社は2月6日に店舗看板ロゴの変更も含め、全16店の改装開業を終えたことから、新CMの放送を決めたという。
店内を仲良く巡る父と娘――。「入りやすい!」「価格もうれしい!」「体感しやすい!」などの字幕とともに、2人はソファに腰かけたり、ベッドに寝転んでみたり……。最後はベッドの上で「大塚家グ~」と寝入ってしまう父に、娘が「くつろぎすぎです!」と注意する。お約束の「掛け合い」は健在だ。
今回、CMシリーズ化の狙いや久美子社長の思いなどを改めて同社に質問したところ、広報室より書面にて次のような回答が返ってきた。