家財道具、趣味の品など身の回りのあらゆるモノを最小限にして暮らす「ミニマリズム」「ミニマリスト」が注目されている。単なる片付け術や生活術を超え、禅や茶の湯との共通性を語り、心理学で理論武装するなど、生き方、哲学という色合いが濃い。
モノを究極まで減らすことで、時間的にも精神的にもモノに煩わされなくなり、何が本当に大切なのかがわかる……のだという。それに対し、家にモノが溢れ、トイレットペーパーの包装紙など「珍品コレクター」として有名な漫画家のやくみつる氏が異議を唱える。
──ブームをどう思いますか。
やく:まず、蔵書もすべて捨てると言っているミニマリストが紙の本を出すんじゃない、ネットで言っとけ、と。
──やくさんはミニマリストとは対極の「マキシマリスト」で、なかなかモノが捨てられないそうですね。
やく:ブランド物とか宝飾品を買い集める趣味はまったくないんですが、小学校のときに使っていた文房具とか、中学のときに着ていたTシャツとか、行ってもいない大阪万博の記念品とかも残っています。収集品のトイレットペーパーも精査が追いつかなくて溜まる一方ですし、本も増えています。もうゴミ屋敷二歩手前で、モノの整理に時間を取られることは確かです。
しかし、トイレットペーパーの包装紙という、どうでもいいことに関する知識が蓄積され、着々と我が国一の地位を固めつつあることに喜びを感じるんです。