2月18日夜9時、神奈川県相模原市のある団地に住む男性会社員(48才)が帰宅すると、目の前に地獄絵図が広がっていた。自室ベッドに長男、八田幸太朗くん(15才)が倒れており、隣のリビングで母親(47才)が首を吊っていた。すぐに119番通報したが、ふたりは搬送先の病院で死亡が確認された。長男の首にはひものような物で締められた跡があった。
警察が父親を聴取したところ、今月16日と17日に長男の高校受験があったが、インフルエンザのためうまくいかず母子で悩んでいたという。長男には抵抗した形跡がなく、警察は心中を図った可能性が高いとみて調べている。
母子の死に、団地中に衝撃が走った──。
「あの夜はパトカー5台に消防車まで来て、騒然としていました。救急隊員のかたが必死に男の子を人工呼吸しながら担架で運んでいたっていうから、よっぽどの緊急事態なんだなと。翌朝新聞で幸太朗くんと母親が亡くなったと知った時は、ショックで言葉を失いました。幸太朗くん、つい最近も団地前の公園で友達とサッカーしていましたからね。お母さんは介護関係のパート職員で、近所づきあいはないけどしっかりしているかたでした。心中なんて言われても信じられません」(同じ団地住人)
八田家の家庭環境を知る者は少なかった。長男がよくサッカーをしていた公園で、目を腫らした女の子が話してくれた。
「わたし、同級生なんです。今日ははっちゃん(幸太朗くんのニックネーム)との思いでの場所を回って写真を撮ろうと思って。一緒に歩いた道とか、この公園も。一生懸命お金を貯めて、一緒によみうりランドも行ったんだ」
ハンカチを片手に彼女は話を続けた。
「あのね、はっちゃんのお母さんってものすごい過干渉だったんです。はっちゃんが一人っ子だったのもあるけど、学校でのことや友人のこと、全部把握しようとするみたいで、半年前くらいから“お母さんが嫌だ”ってずっと言ってた。はっちゃんはよく部活帰りに友達とマックに行ってたんだけど、“家に帰るのが嫌なんだ”って。
受験が近づいてくると、勉強についてもすごく厳しく言われていたみたい。2年生の冬に個別指導の塾に通い出したけど、塾帰りに友達としゃべっていて少しでも帰るのが遅くなると、お母さんにメチャクチャ怒られるんだって」