ソフトバンク(SB)2年前を迎えた松坂大輔は、今年のキャンプで最も意欲的で評価をあげ、“復活”は確実だろうという意見も出ている。野球評論家・杉本正氏は「ブランクは1年、メジャー時代を含めると数年は先発として年間を通して投げていなかったわけで、そう考えると肩周りの筋肉とかスタミナはかなり落ちていると思う。開幕からは無理です。でも今から体を作って、6月以降なら十分一軍の戦力になれるのではないか」と一定の評価を与えている。
一方、やはりこの声が聞かれるのも事実。「松坂の復活は難しい」という意見だ。野球評論家・江本孟紀氏の話。
「工藤(公康)監督の中では先発ローテの頭数には入ってないでしょうね。皆どうも勘違いしているけど、メジャーから帰ってきている時点で、力は落ちているんです。だって落ちてなかったら日本に帰ってこず、まだ向こうで投げているはずでしょう? 手術明けだし、使う方だって難しい」
さらに手厳しい見方をする向きもある。350勝投手の米田哲也氏だ。
「復活は無理。松坂はメジャーに行ってから投げ方が変わってしまった。昨年と比べ多少フォームが変わったのは事実だが、それでも完璧な“手投げ”です。
松坂は西武で投げている時から上体で投げる傾向があったんですが、メジャーでますますひどくなった。もう35歳で股関節の可動域も広がらないし、柔軟性は出てこない。故障上がりの不安があるから、思い切って練習もできない」
そもそも、松坂はどうしてまともに投げられなくなってしまったのか。
「メジャーの固いマウンドのために、下半身を使わなくなったことが諸悪の根源」
と米田氏はいう。
西武時代、投手コーチとして松坂を指導していた杉本氏も同じように、メジャーのマウンドに松坂の投球を狂わす原因があった、と指摘している。
「日本で投げていた時も、内転筋を痛めたり、股関節が万全ではなかったが、メジャーの固く締まったマウンドで投げることで上半身と下半身の連動がうまくいかず、下半身に負担がかからないように歩幅を狭くしたことで上体が高くなり、手投げになっていったんです。その結果、肩やひじへの負担が大きくなったんだと思いますね」