マドンナと同じように、誰にも媚びず、スクッと背筋を伸ばして立っている人――といったら、つい先日、50代の仲間入りした小泉今日子しかいないではないか。ずい分、長い時間を芸能界で生きてきたはずなのに、「わが道をゆく」という姿勢と、だからこその手垢のついていない美しさも変わりません。
オバが『あまちゃん』のロケ地となった岩手県久慈市に行ったときのこと。「小泉今日子? 夜、ホテルの前のスナックで普通に自分の持ち歌を歌っていたよ」とか、「そこのカウンターでずーっと雑誌を読んでいたな」とか、地元の人が彼女の溶け込みっぷりを語ってくれました。
自然体といえば自然体だけど、それだけではない、小泉今日子のただ者じゃない感が、この時、オバの心に深く刻みこまれました。50代の生き方のお手本をマドンナに求めるのは、たとえれば、無酸素でエベレストに登るようなもの。簡単じゃないけどトレーニングを積めばなんとかなる、気もします。
でもすっぴんで撮影とか、小泉今日子のしていることは、誰でもできそうだけど、よ~く見て。思慮深そうで、年を重ねた人の美しさまで感じさせて、要は普通の人は絶対に達しえない領域なのです。
いずれにしても力技のマドンナと、われらが小泉今日子がさらりとしていることは、素人には難しすぎて歯が立たない。でも、彼女たちのような50代がいるということはやはり手放しで喜ぶべきことであり、誇らしくもあるのです。
※女性セブン2016年3月10日号