GDPのマイナス成長、実体経済に反映されないアベノミクス景気、4年連続で下がった実質賃金、金融業界を混乱させるマイナス金利……など日本経済を「悲観論」が覆っている。しかし、そうした指標を認めながらも著名投資銀行家で近著『上位1%のエリートしか知らない? ニッポン経済 世界最強論!』(東邦出版)が10万部突破のベストセラーとなっている“ぐっちーさん”こと山口正洋氏は「日本経済こそ世界最強」を唱え続ける。
その根拠の一つが国連による『総合的な富裕度報告書2012』で日本が世界No.1になったことだ。これは「国民1人当たりの総合的な豊かさ」を表わすもので、日本は1人あたり43万5466ドルで、2位がアメリカの38万6351ドルとなっている。
「そもそもGDPに含まれる経済生産を生み出す主体は人であり、その能力の高さを示す『人的資本』、これまで構築されてきた効率的なインフラや安全な環境といった『生産資本』など、GDPに現われない資本力で日本は世界一なんです」
また、山口氏は、経済の専門家や大メディアがこぞって口にする「失われた20年」という表現にも疑義を呈する。
「1991年のバブル崩壊以降、個人所得も小売販売額も就業者数も横ばい。この20年間で何も失われていないんですよ。それはデータが示しています」
マネタリーベース(資金供給量=日銀券と日銀当座預金の合計)の伸びは際立っているが、「日銀の金融緩和だけでは景気回復を加速することができないという証です」と山口氏は指摘する。