失明と人工透析の主要な原因は糖尿病だ。糖尿病はインスリンがうまく働かない、もしくは分泌されないために高血糖状態が続く代謝異常で、90%以上が生活習慣病の一つの2型糖尿病である。食事や運動療法だけで血糖値のコントロールができる人もいるが、薬やインスリンの投与が必要になる人も少なくない。現在は、自宅で血糖値を簡便に測定できる機器が販売され、1日に数回、血糖値を知ることが可能になっている。
東京慈恵会医科大学附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科の西村理明准教授に聞いた。
「1日に数回測定しても、その時にたまたま血糖値が良ければ安心してしまうことがあります。また、糖尿病治療の指標としてヘモグロビンA1cがありますが、過去数か月の平均血糖値の指標なので、一過性の高血糖を見逃すこともあります。血糖値を24時間測定し、どんな場合に上昇したり、低下するかを知らないと適切な治療はできません。
2010年に、一定の基準を満たす糖尿病患者を対象に、血糖値を連続してモニターする持続血統モニター(CGM)が保険適用になりました」
CGMは、アメリカでは1999年にFDAの認証を受けている。西村准教授は2006年に機器を個人輸入して臨床研究を始めた。CGMは細い針を腹部に刺し、5分ごとに皮下の糖濃度を測定し、データを500円玉ほどの大きさの本体に記録する。連続して最長6日間データを蓄積でき、パソコンでグラフ化して見ることができる。
血糖値の24時間変化パターンは、治療内容や患者によって大きく異なる。例えばインスリンを投与している患者の場合、就寝中に低血糖を起こすパターンがみられることも少なくない。