今季から横浜DeNAベイスターズの指揮を執るのがアレックス・ラミレス新監督(41)だ。現役時代はMLBを経て、2001年からヤクルト、巨人、DeNAの3球団で13年間プレーし、首位打者1度、本塁打王2度、打点王4度を獲得。パワーヒッターのイメージが強いが、監督就任に際して打ち出した方針は、「バッテリーを中心とした守りの野球」だった。
緻密な守りの野球を目指す姿勢は、キャンプ中に垣間見ることができた。小ぶりの黒革の手帳を片時も手放さず、試合中でも練習中でもひたすらペンを走らせていた。
「内容はすべて頭の中に入っています。書き込むのは後で振り返るため。昨年の奄美大島での秋季キャンプから今まで、あらゆることがここに書かれています。たとえば、捕手の配球とその時の状況、そして、結果。毎回ベンチに戻ってきた捕手と、『なぜあの配球にしたのか』と話をして試合中に修正していこうと思っているのです」
気になるメモの中身だが、選手の特徴や基本的にはポジティブなコメントを書いているという。
「大事な情報が詰まっているから、見せることはできません。たとえ、財布や携帯電話をなくしても、これだけは落とせない。自分の奥さんにだって見せたことがないんだから(笑い)」
これまでの外国人監督の多くは、腹心となるコーチを呼び寄せてきた。常に決断を迫られる監督業において、母国語で相談できる部下の存在は貴重だからだ。だが、ラミレス新監督はコーチ人事の一切を球団に任せた。
「私から高田繁GMにコーチの組閣を任せますと話しました。与えられたスタッフをマネジメントするのが自分の仕事だと思うし、実際に素晴らしいコーチ陣に恵まれ、いいチームになってきたと手応えを感じている。
そもそも外国から自分の右腕となるコーチを連れてくればいい結果が生まれるとは限らない。日本の野球を知らないコーチは、自分を差し置き日本の野球の方を変えようとする。それではダメなんです。DeNAが私にオファーをしてくれたのは、私が日本の野球を理解しているからです。もし外国から腹心を連れてくるなら、自分と同じくらい日本の野球に精通していなければなりませんが、そんな人間はいませんからね」