『下町ロケット』(TBS系)で熱い演技を繰り広げていた阿部寛(51才)が、新たな境地へ挑戦した。映画『エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)』(3月12日公開)では、極限の世界に挑む孤高の天才クライマー・羽生を演じ、野心家のカメラマン・深町を演じる岡田准一(35才)や尾野真千子(34才)らとエヴェレストにおける極限の撮影に臨んだ。
そんな阿部に、撮影現場の話しを聞きにうかがった。試写室の椅子に座り直した姿もかっこいい。ネイビーカラーで統一したニットもデニムのシャツも自然体で、心憎いほどおしゃれ。脚を組み替えるたびに、「かっこいい」と声をかけたい気分だ。
とその時、レンズをのぞいていたカメラマンが「まばたきしないんですね!」と感嘆の声を上げると――。
「撮影中も、相手がせりふを話している時に、途中でぼくがまばたきすると、どういうわけか毎回、相手がせりふをトチるんですよ! だから、なるべくまばたきしないようにしているんです(笑い)」
――わかります!! 私も大きな目を見開いたまま話す阿部さんの眼力の強さに、次の質問を忘れそうですから。ところで、デビュー当時、年齢を重ねた時の自分をイメージしましたか?
「いやあ~考えもしなかったですね。ただ、29か30か、そのくらいの年の時に、大滝秀治さん(2012年没・享年87)と共演したことがあるんです。その時、大滝さんがお芝居にすごく集中されていらっしゃって、しかも、すごく楽しそうでね。ぼくにはまだ、その楽しさがわからなかったんですけど、目標にしたいな、と思ったんです。恐縮ですけどね。今は少し、その楽しさに近づけたかな、と思っています(見開いた目を一転伏し目がちにして話す、その姿にはまた大人の男の色気がにじむ)」
――50代に突入して、思うことは?
「ぼくは今51才ですが、人生含めていろんなことを考えますね。仕事の上では、年齢とともにいろんな顔ができればいいなあと思っています。
以前は、しわとかたるみとかが味わいになるとか、考えなかったけれど、今は味わいになるのかなと思ってます。ただ、背だけは厳しい。日本兵とか陸軍の軍人とかをやると、ひとりだけ目立ってしまって(笑い)」