北朝鮮は長距離弾道ミサイルの発射実験を継続する姿勢を見せている。周辺国の包囲網が機能しなくなっている今、独裁国家とどう対峙すべきか。このほど『日本逆植民地化計画』を上梓した社会学者・橋爪大三郎氏が、アッと驚く解決策を提言する。
* * *
今回のミサイルは日本の上空を通過して、宇宙空間に達しました。改良された弾道ミサイルの飛距離は1万km以上で、米本土もゆうに射程に入ります。日本全域はとっくに北朝鮮の中距離ミサイルの射程内に収まっています。アメリカ軍はさらに北朝鮮に手を出しにくい状況になったと言えるでしょう。
国防委員会第一委員長の金正恩は、朝鮮人民軍の統帥権(軍事指揮権)を持っています。平たく言えばいつでも戦争できる権限があります。
もしも韓国軍や韓国に駐留するアメリカ軍との軍事衝突が起きた場合、朝鮮人民軍は祖国を守るため全力で戦うでしょうから、双方で数十万人の犠牲者が出ると考えられます。ソウルが砲撃されて多くの市民が犠牲になるかもしれません。戦況によっては、核兵器が使われる可能性もあります。当然、日本もただではすみません。
北朝鮮が独裁国家として存在するせいで日本が困り、韓国が困り、中国が困り、アメリカが困り、そして何よりも朝鮮人民が困っている。とはいえ、独裁政権を力で打倒すれば、大混乱に陥り、朝鮮人民がさらなる苦しみを強いられるのは目に見えている。
さて、この厄介な核保有国を戦争なしで崩壊させることができるのか。有効な方法があります。ここで重要なのは、その端緒を開くことができるのは、日本だけだということ。
独裁国家を平和的に瓦解させる道筋を考えてみると、まず朝鮮人民が大量の難民となって国外に亡命する状況を作り出す必要がある。
それには第一に北朝鮮の人々が、いまこそが脱北するチャンスだ、と確信して行動に移さなければなりません。現在も決死の覚悟で亡命する人はいますが数が少なすぎます。政権の屋台骨を揺るがすほどの影響はありません。一族総出や村ぐるみで逃げ出すという状況が必要になる。
そこで日本政府が現実的にできることが「北朝鮮からの難民受け入れ宣言」です。