ライフ

本谷有希子氏 芥川賞受賞作への夫の言葉に「うれしい」

【著者に訊け】本谷有希子さん/『異類婚姻譚』/講談社/1404円

【内容】
〈ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた〉。結婚してもうすぐ4年、専業主婦のサンちゃんの発見は、他人が家族になる「夫婦」ゆえの不思議なのか。夫への違和感は膨らんで、知らない顔が現れるように──。芥川賞受賞作の他、「書けなかった時期に、トモ子という一人称でやった時だけ書けた」という「トモ子のバウムクーヘン」「藁の夫」など3編を収録。

 本谷有希子さんの芥川賞受賞作「異類婚姻譚」は、不思議な変貌を遂げる夫の姿を、専業主婦のサンちゃんの目からとらえた小説である。既婚者である本谷さん自身の夫(詩人で作詞家の御徒町凧さん)はこれをどう読んだのだろう。

「夫は、自分のことが書かれているのかと思って読んだら、あまりにも別の人格で肩透かしだったらしく、『もっと真剣に書けば?』って(笑い)。私はほんとうにまじめに書いたので、それをふまじめだと言われるなんてうれしいなと思いました」

 前作から2年以上ブランクがあった。書いては捨て書いては捨てしていた時に妊娠がわかる。編集者から「生まれたら、次、いつ書けるかわかりませんよ」と言われスイッチが入り、3週間で第1稿を書き上げた。

「妊娠中にパソコンで目を酷使すると神経質な子供が生まれると聞いて、嘘か本当かわからなかったけど、原稿用紙に書いてみました。パソコンだと、ちゃんと書こうという雑念が入ったのに、原稿用紙はいい意味で自由で、『こんな感じ』と絵を書いたり、『あとで書こう』と5行ぐらい空けておいたり、行ったり来たりしながら前に進んでいけたんです」

 臨月の、いつ破水してもおかしくない状態まで原稿に手を入れていた。候補になるのは4回目だが、前回の又吉直樹・羽田圭介両氏の時の盛り上がりもあって、これまででいちばん周囲の期待を熱く感じたそうだ。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン