『サザエさん』のキャラクター「ノリスケ」が注目を集めている。その性格に批判するむきもあるが、大人力コラムニストの石原壮一郎氏は「いまこそノリスケから学ぶべき」と熱く説く。
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このところネット上で、ノリスケが注目を集めています。ご存知のとおりテレビアニメ『サザエさん』の登場人物で、フルネームは波野ノリスケ。磯野波平の妹の子どもで、サザエやカツオやワカメにとっては従兄にあたります。けっこうオッサン臭く見えますが、番組公式サイトによると年齢は24~26歳という設定です。
最近話題になっているのは、ノリスケの「クズっぷり」。3月6日放送の「ジェラちゃんとノリスケ」の回では、磯野家の留守番を頼まれたノリスケが、冷蔵庫を勝手に開けてそこに入っていた高級ジェラートを食べてしまい、食べるのを楽しみにしていたタラちゃんを泣かせてしまいます(あとでちゃんとお取り寄せして謝りましたが)。
去年の12月13日放送の「ノリスケ倹約術」でも、マスオと居酒屋に行って絶妙のタイミングで寝たふりをし、マスオにお金を払わせるという「倹約術」を披露しました。ほかにも、土用の丑の日になるとうなぎ目当てで食事時に磯野家に現われたり、すき焼きやメロンなどの豪華なメニューがあるときにはタイミングよくやって来たりするなど、その行動様式は以前から「ハイエナ」(ひどい……)に例えられていました。
「ノリスケじゃなくてゴミスケだ」といった批判の高まりに、放映開始当初から脚本を担当している大御所の雪室俊一さんもBuzzFeedのインタビューで反論。「みなさん、何を根拠に『クズ』だの『ゴミ』と言っているのでしょうか?」「『自分の意見と相違があれば、すぐに批判する』というネットの特性だと思っています」と怒ってらっしゃいます。長年、作品に心血を注いでらっしゃる雪室先生としては、そりゃ腹が立つでしょう。
こんなふうに登場人物の、しかも脇役のキャラクターが大きな話題になるところが、さすが放送開始から47年目になる超長寿アニメの貫録です。ノリスケを罵倒したり批判したりしているのも、いろんなツッコミを入れながら作品を楽しんでいる一環で、むしろ愛されている証と言っていいでしょう。波平の身勝手な暴君っぷりやタラちゃんの無責任な性格なども、以前からさんざんいじられてきました。
ただ、大きく話題になると、マジな調子で「よそ家の冷蔵庫を勝手に開けるなんて、そんなシーンは子どもの教育によくない!」などと怒り出す人が出てくるのが常。大人として、そんなマヌケで無粋な反応はしたくありません。かといって、いわゆるネット民のみなさんのように、アラを探して批判してドヤ顔するのはみっともなさすぎます。