日本の中国人が多く暮らす地域では、商店などに中国語のフリーペーパーが置かれている。中国人が日本で暮らすための情報が満載だが、詳しく解読すると中国人の生活の裏側が見えてくる。フリーライターの西谷格氏が、その驚きの掲載情報をレポートする。
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東京・池袋は中国人が多く、店や事務所を構える者も多い。駅北口の中国食材店の裏の一角にはタブロイド判のフリーペーパー(新聞)が山積みになっていた。「華風新聞」「聯合週報」「聞声報」などの大陸の簡体字がびっしりと並ぶ紙面は当然、中国人読者を対象としたものだ。
記事の多くは中国の新聞やネットメディアを転載したもので、日中間の政治経済、社会、文化など多岐にわたる。多くが週刊で、体裁は日本の夕刊紙などと大差はない。紙面の大半は広告だが、風俗店や飲食店の募集に混じって目に付く文言があった。
〈不法滞在・不法入国・黒転白等簽証的取得〉、〈上陸特別許可(強制退去的簽証取得・入国可能)〉、〈他人名義入国者的在留特別許可〉、〈非法入国者的在留特別許可〉、〈無護照、不法滞在特別再留許可〉
中国語を知らなくてもおおよその見当が付く物騒な言葉が散らばっている。それらは外国人に向けたビザ取得を行う行政書士事務所の広告だ。「簽証」はビザ、「護照」はパスポートを意味する。不法滞在や強制退去処分を受けた中国人に対してビザ取得等の手続きを請け負うらしい。
とりわけ目を引く「黒転白」は、「黒いものを白いものにする」。曖昧な表現だが、この惹句に誘引される中国人は少なくないようで、広告を出している業者のうち半数近くがこの文言を謳っていた。こういった広告について問題はないのか。
「問題のある表現だと思います。黒が白になるはずがない。行政書士の品位を害するような行為を禁じた、行政書士法10条に抵触の可能性もあるでしょう」(中村和夫行政書士)
また、行政書士事務所が結婚相談と手続きを請け負う旨の広告もあった。