拳銃発砲事件の3時間後、東京都足立区の団地前の路上で、同じ山健組系の幹部が2人組の男に催涙スプレーを吹きかけられた後、刃物で斬りつけられ、全治2か月の重傷を負っている。こちらも犯行の手段から、殺す意志はなく、あくまで警告と解釈していい。
2つの事件は、山健組内の同じ組織を標的にしているため、なんらかの関連性があると考えられている。実行犯は不明だが、被害を受けたのは神戸山口組側なので、分裂という一撃を加えられた六代目側のターンだろう。
事件翌日、足立区の団地を訪れてみたところ、暴行現場には派手な血痕が多数残されていた。片っ端からベルを押し、住民に気になる点を聞き込みした。本来、暴力団は公営団地から締め出されたというのが建前だ。公営住宅からの暴力団排除をめぐる裁判では、すべて暴力団側が敗訴している。
ここがもし山健組幹部の自宅なら、暴力団排除の実態にはまだまだ盲点がある。なお今年1月、名古屋市で取材した組員は、市内の公営団地を住居にしていた。名義は内縁の妻で、組員は悪びれた様子もなく「月に1万5000円の家賃だから手放せない」と豪語した。
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号